章子のボーイフレンドの金井政夫を、今日ははじめてわが家に呼んだのだ。

章子のボーイフレンドの金井政夫を、今日ははじめてわが家に呼んだのだ。金井政夫は自分で英語塾をひらき、百人ほどの塾生がいるという。章子はその塾に去年から通っていて、金井との交際がはじまったらしい。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 二」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  1. ひとしきり話が弾んだあと、保子は時計を見、 「あら、もう二時過ぎよ。急がなければ、おばあちゃんが帰ってくるわ」 「帰ってきたって、いいじゃないか」

  2. 正式に保子と別れてからは、電話はおろか、葉書一枚きたこともない。

  3. 「ね、お兄さん、わたしにもキスをして」 「えっ?」 金井は思わず口からタバコを離した。

  4. 「そうね、わたしも料理学校に行こうかな。ね、お父さん、わたし、章子さんより先にお嫁に行きたいわ」

  5. 「ねえ、わたしたち三人は、水入らずよね。血が通っているんですもの。章子さんや小母さんとは、ちがうわよねえ」

  6. が、近ごろは、なぜか時おり父がふと懐かしくなる。