正門は重々しい鉄柵の門扉に閉ざされ、

正門は重々しい鉄柵の門扉に閉ざされ、人が近づくと、鎖につながれたシェパードのトニーが噛みつかんばかりに激しく吠え立てる。
「高い塀だねえ。俺はまた、刑務所かと思ったよ」
恵理子の家にも、この家にも始終現れる、例の口のわるい小山田整がいって、香也子に叱られたことがある。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 二」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  1. そのときも、恵理子は焼却炉にゴミを捨て、いつものようにマッチで火をつけた。

  2. 旭山は、恵理子たちの家から車で二十分ほどのところにある美しい小山である。

  3. 金井はいま、思いきって橋宮容一に、章子との交際を求めたばかりなのだ。

  4. 駆けこむように家にはいってから、恵理子は自分の感情の動きにふっと笑い出したくなった。

  5. 神社のほうに、何かを囲んで人々が群れていた。その群れの中に和服姿の若い娘たちが二十人ほどいる。

  6. 容一に手首をぐいぐい引っぱられて、何十メートルか、斜面を降りた扶代と章子は、あっけにとられていた。