沢を隔てた向かいの山が、日一日と鮮やかな芽吹きを見せてきている。

沢を隔てた向かいの山が、日一日と鮮やかな芽吹きを見せてきている。萌黄色の山に白いこぶしや桜の花が咲いているのも美しい。ここ高砂台の丘の上は、しゃれたたたずまいの家が散在し、ところどころに落葉松や柏林が残っていて、別荘地のような趣がある。その中で、橋宮容一の家だけは、五百坪近い敷地を高いブロック塀でぐるりと囲い、近代的な豪奢な邸宅の構えを見せている。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 二」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  2. ほうっと、また溜息をついた時、先程の騎馬であろうか。再び地ひびきを立てて塀の外を駈け過ぎて行った。

  3. 香也子は椅子ごと、ぐいと扶代と章子のほうを向いた。

  4. 章子は立ちあがって、 「あ、香也ちゃん、すみません」 と、盆を受けとろうとした。

  5. 容一は、恵理子の高校の卒業式に扶代にかくれて出席した。

  6. 同じ日。橋宮容一は、庭のテーブルでコーヒーを飲みながら、