三百坪ほどの広い庭は、なだらかに傾斜しつつ、沢の端に至っている。

三百坪ほどの広い庭は、なだらかに傾斜しつつ、沢の端に至っている。築山が前庭にあり、家のうしろは、香也子の、
「ゴルフ場のような庭にしたいの」
とねがったとおりに、広々とした芝生にした。香也子はここにプールもほしいという。今年は、そのプールも造ってやろうと、容一は考えている。生みの母と別れ、姉の恵理子と別れた香也子が、容一には何かふびんでならないのだ。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 二」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  3. 「何を考えていたんだ」

  4. そんな容一に、保子から電話がきた時、容一はわれにもなく心がゆらいだ。

  5. 「ねえ、わたしたち三人は、水入らずよね。血が通っているんですもの。章子さんや小母さんとは、ちがうわよねえ」

  6. その時、階段に静かに足音がして恵理子が茶の間にはいってきた。 「あら、もう三時? おばあちゃんお帰りなさい」