恵理子は洗面所を出ると、二階の自分の部屋にあがって行った。

恵理子は洗面所を出ると、二階の自分の部屋にあがって行った。まだあの青年が川岸にいるかどうかを確かめたかった。部屋の窓に寄ったとき、恵理子は、ハッとした。青年が若い女性と肩を並べて、川の畔を歩いて行くうしろ姿が見えたのだった。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 一」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  3. 「これから一服を差しあげとう存じます」

  4. 金井政夫は、運動ならスキーでも、野球でも、ホッケーでもやるといった感じの、スポーツ青年に見えた。

  5. 容一は、恵理子の高校の卒業式に扶代にかくれて出席した。

  6. 「そうね、香也ちゃんのいうとおりね。香也ちゃんをひとりおいて、お母さんとわたし、橋宮の家を出てしまったのですものね」 うるんだ恵理子の声が返ってきた。