この川を隔てた向こうは

この川を隔てた向こうは、一万五千坪ほどの工場地帯で、旭川木工団地と呼ばれている地域だ。家具・建具を製作する工場が十五、六、それに附帯する倉庫、平家よりも高く積まれた乾燥材などの間に、寮や住宅も散在する。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 一」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  1. 店内はひっそりとして客が二組ほどしかなかった。ま昼のせいだろう。容一、保子、恵理子の三人が、いちばん隅の席に向かい合っていた。 「いい娘になったねえ。まったくいい娘になった」

  2. 容一に手首をぐいぐい引っぱられて、何十メートルか、斜面を降りた扶代と章子は、あっけにとられていた。

  3. お手伝いの絹子が、コーヒーを持ってテラスから芝生に降りてきた。

  4. 恵理子は器用に、スーツの裾をまつっていく。驚くほどの早さであり、驚くほどのうまさである。グリーンのこのスーツの主は、高校時代の友人だ。

  5. 容一は、恵理子の高校の卒業式に扶代にかくれて出席した。

  6. 香也子は父の手をふり払って、ふくさをつけている和服姿の中年の女にいった。