自分を信じる心がかなでるハーモニー『今日からは、あなたの盲導犬』を読んで  波多美理愛

「視覚障害者がホームから転落、電車にひかれ死亡」なみだがあふれてこぼれました。そんな時、わたしはこの本に出会いました。

盲導犬しどういんの原さんと、ラブラドール・レトリバーのセロシアのくん練は三か月も続きました。でも、くん練はそれで終わりではありませんでした。きびしいくん練ばかりなのに、どうしてセロシアはがんばれるのでしょう。セロシアに会った大石さんの気持ちも知りたいな。たくさんのぎ問が次々とわいてきて、心おどらせながらページをめくっていました。

わたしは盲導犬のくん練をじっさいに見学してみたいと考えて、静岡県富士宮市にある「盲導犬の里・富士ハーネス」という盲導犬くん練しせつに見学に行ってみました。ハーネスでは盲導犬の仕事や役わり、くん練を行う様子を見学したり、目の不自由な人といっしょに買い物をする体けんをしました。
盲導犬は、あまやかされてわがままいっぱいの犬たちとは大ちがいでした。本当に人の役に立っていました。めいれいはすべてえい語、走らせない、間食はさせない、くん練はいのちがけ……。くん練する人の考えやくろうもわかりました。
そして、わたしが知ったもうひとつの大きなこと、それは、盲導犬と歩く人にもクリアしなければならないじょうけんがあるということです。わたしは犬よりも先に歩いてしまったり、犬がまがる方こうがわからなくて、何度も立ちどまってしまいました。犬との相しょう、犬を信じる気持ち、それからたぶん、自分を信じる気持ち。ひつようなのは歩くくん練だけではないのです。
この本を読んで、ひとつの事を一生けんめいがんばっている人のすがたはいいなぁと感心しました。わたしはこれまで、盲導犬は人をみちびくナビゲーターのようなものだと思っていたのですが、ちがいました。盲導犬は人のめいれいにしたがいながら、人をささえ、ともに歩きます。人は盲導犬にまかせるのではなく、でも目の役目はつとめてもらって、ともに歩きます。
とてもきょう味ぶかいし、ふかくうなずける関係でした。人と犬とが、たがいにたがいを大すきで心が通っていないと、この関係はなり立たないです。人間どうしでもむずかしいことをやっているのです。人は、めいれいにしたがうという犬の習せいを使っているのですが、かんじんなことは、あいじょうです。せきにんをもって、生き物のいのちをそだてることです。動物はあいじょうにこたえてくれるのです。

日本で盲導犬が生まれてから、まだ六十年くらいしかたっていないそうです。はじめのころはせけんの理かいがなくて、電車にのる時は、か物としてはこに入れなければならなかったといいます。これからはどうなっていくのでしょう。
もっと人と盲導犬が歩きやすい社会になればいいのに、そうねがってやみません。そしてそれ以上にわたしは、もっと人が人をささえる社会でなくてはいけないと思いました。この本を読んでから、「自分に出来ることは何か」を考え続けています。今わかることは、このことを「伝えたい」という思いです。これからのわたしは、もっと多くの知しきをたくわえてコミュニケーションのう力をみがき、いつかは社会のルール作りができる人になりたいです。これからも、「伝えたい」と強く思い続けることできっと出来ると、この本はわたしのせなかをそっとおしてくれました。ふくしを大切に考えることは、わたしにもできるみんなへの幸せの運び方なのです。

波多美理愛(白百合学園小学校3年)最優秀賞 A 自由作文部門
三浦綾子記念文学館 第21回三浦綾子作文賞 2019(平成31)年

第22回三浦綾子作文賞 募集

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