裸足のまま抱きしめてくれた  大西伸子

父は、私を捨てていました。母は貧しく何もない中で、私を女手一つで育てました。
私は十歳の頃から死を考えていた子どもで、十六歳のとき、何かを求めるようにして、教会へ通うようになりました。しかし、母を愛せず、父を許せない、そんな自分の罪深さに震える日々。落ち込み、自殺を考えていた毎日でした。
そんな折、綾子先生の講演会に行く機会があり、「こんな私でも必要とする人があれば、どこへでも行きます」と話されたので、その言葉に自分の生命をかけ、旭川に行ったのでした。
昭和46年3月。三浦邸に突っ立っていると、ご夫妻が走って来られ、綾子先生は裸足のまま、心まで凍った私を抱きしめてくれたのです。そしてすぐに書斎に招き入れられ、光世先生が「ひとつの生命を救うことができました」と祈られました。頭を殴られたような衝撃でした。
お二人にお会いでき、この書斎での祈りが、私と信仰を新たにしました。ただただ感謝です。

大西伸子 三浦綾子記念文学館 館報「みほんりん」第39号 2017(平成29)年9月1日

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