次代に託す役目を  石川千賀男

文学館が開館20年を迎える節目の時期に、この大きな役目を引き受けるのはいささか緊張もいたしますが、三浦綾子・光世夫妻の大きな功績を次代にしっかりと引き継ぎ、地域社会に貢献してまいりたいと存じます。
文学館とのご縁は、開館前にさかのぼります。当時、建築設計に携わらせていただきました。静かな見本林に建つ文学館。『氷点』の舞台、自然との調和、人の安らぎ、文学の香り。ここに在り続けることの運命と必然を感じます。
綾子さんの作品を次々に読み返しているところですが、あらためてその描写の巧みさと物語の構成の凄さに感服します。“古びない”とは、このことをいうのですね。これからもずっと読み継がれていくことだろうと思います。私は漁師の家に生まれ育ちましたので、特に『海嶺』は夢中で読みました。船や海のことなど、綾子さんの取材力と表現力の凄さを実感しました。
さて、来年にかけての記念事業で、私たちは大きな決断をしました。“口述筆記の書斎”の移設復元です。この事業での最も大きな柱に位置づけました。どうかお支えください。皆さまのお力添えを心からお願い申し上げます。

石川千賀男(理事長) 三浦綾子記念文学館 館報「みほんりん」第39号 2017(平成29)年9月1日

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