思いが集まり、力となって  石川千賀男

“口述筆記”の書斎復元を含む、念願の分館が9月29日、無事に完成しオープンいたしました。本館に並び立つ姿は北国の風情を感じさせ、まるでずっと以前からそこに建っていたかのように馴染んでおります。
この記念事業にご理解いただきました北海道森林管理局および上川中部森林管理署、北海道上川総合振興局、旭川市、近隣市町村、また株式会社ツルハ様はじめ企業や諸団体の皆様、そして三浦文学を愛する全国のファンの皆様のご協力に心からお礼申し上げます。
また1998年開館以来、文学館の運営に携わってくださった、おだまき会をはじめとするボランティアの皆様、アドバイザー、特別研究員、代々理事長、理事、評議員、監事の皆様のご労苦に心より敬意と感謝を申し上げます。
三浦綾子さんは、この文学館が完成した翌年の、1999年に77歳の生涯を終えました。また、綾子さんを生涯支え励まし続けた光世さんも2014年に90歳の生涯を終えました。三浦家のすべての資料を当財団に寄贈して天に召された三浦ご夫妻が、この日を誰よりも喜んでくださっているのではないでしょうか。

2013年に亡くなられました、旭川市の名誉市民であり、旭川市長、建設大臣、内閣官房長官を務められた五十嵐広三さんは、生誕90周年の折に、「三浦さんの命の美しさと尊さを大切にする心は、街に暮らす人々の魂と常に結ばれており、心優しい人間愛によって、いかに多くの人々が励まされ、勇気づけられ、支えられたか、計り知れません」と語り、「旭川市民が誇るべき存在」と賛辞を送られております。
「これ以上にいい街がどこにあろうか」と書くほどに旭川を愛した三浦ご夫妻は、綾子さんが語り、光世さんが書き留めていく“口述筆記”で作品を生み出しました。この現場である、世界でも稀有な書斎の移設は、分館建設委員長を担ってくださった大矢二郎先生のご指導の下、株式会社盛永組様の施工により、素晴らしい出来栄えで完成をいたしました。

これからも、三浦文学の「ひかりと愛といのち」を広く伝え、旭川駅から氷点橋・氷点通り・三浦綾子文学の道・外国樹種見本林に至る「三浦文学ワールド」とともに、旭川を代表する観光の名所としても地域の活性化に寄与してまいりたいと存じます。
今後ますますのご指導、ご支援、ご協力を切にお願い申し上げまして、お礼と感謝のご挨拶とさせていただきます。

石川千賀男(理事長) 三浦綾子記念文学館 館報「みほんりん」第41号 2018(平成30)年11月15日

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