五月も十日に近い日曜の午後。
五分咲きの山桜が、初々しく咲く児童公園の前を過ぎて間もなく、藤戸恵理子は小又川の畔に出た。川といっても、幅一メートルほどの流れで、それでも両岸の間は十メートル余りある。五月の青い空を映して、川はきらめきながら流れている。
三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 一」
『果て遠き丘』小学館電子全集
五月も十日に近い日曜の午後。
五分咲きの山桜が、初々しく咲く児童公園の前を過ぎて間もなく、藤戸恵理子は小又川の畔に出た。川といっても、幅一メートルほどの流れで、それでも両岸の間は十メートル余りある。五月の青い空を映して、川はきらめきながら流れている。
三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 一」
『果て遠き丘』小学館電子全集