五月も十日に近い日曜の午後。

五月も十日に近い日曜の午後。
五分咲きの山桜が、初々しく咲く児童公園の前を過ぎて間もなく、藤戸恵理子は小又川の畔に出た。川といっても、幅一メートルほどの流れで、それでも両岸の間は十メートル余りある。五月の青い空を映して、川はきらめきながら流れている。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 一」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  1. そのときも、恵理子は焼却炉にゴミを捨て、いつものようにマッチで火をつけた。

  2. 恵理子は焼却炉のそばを離れたかったが、燃えつきるまでそばについているように、常々保子からいわれている。

  3. 神社の下の大きな桜の木の下に、赤い毛氈が敷かれ、野点が催されていた。

  4. 「ここの中華料理はうまいね。実はこの前の日曜日、うちに客があってね。中華料理の手づくりをご馳走したんだ。それが意外とうまくてね。お前たちに食べさせてやりたいと思ったもんだから……」 「どなたがおつくりになったの」

  5. 香也子は二人を見ると、ついと顔をそむけた。

  6. 「お母さん、ただいま」 「あら、帰ってきたの」