それにしても、女の命は見目形であろうか

(それにしても、女の命は見目形であろうか)
凞子は、この二、三日思いつづけてきたことを、いままた思った。幼い頃からついこの間まで、愛らしい、美しいと人々にいわれつづけてきた。自分の美しさは、太陽が西から出ぬ限り、いつまでもつづくものと思っていた。が、いまにして凞子は顔の美しさの変りやすさに気づいたのだ。ひどく頼りにならぬものに、頼ってきたような気がする。

三浦綾子『細川ガラシャ夫人』「痘痕(あばた)」

『細川ガラシャ夫人』新潮文庫

『細川ガラシャ夫人』(上)小学館電子全集

『細川ガラシャ夫人』(下)小学館電子全集

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