それにしても、女の命は見目形であろうか

(それにしても、女の命は見目形であろうか)
凞子は、この二、三日思いつづけてきたことを、いままた思った。幼い頃からついこの間まで、愛らしい、美しいと人々にいわれつづけてきた。自分の美しさは、太陽が西から出ぬ限り、いつまでもつづくものと思っていた。が、いまにして凞子は顔の美しさの変りやすさに気づいたのだ。ひどく頼りにならぬものに、頼ってきたような気がする。

三浦綾子『細川ガラシャ夫人』「痘痕(あばた)」

『細川ガラシャ夫人』新潮文庫

『細川ガラシャ夫人』(上)小学館電子全集

『細川ガラシャ夫人』(下)小学館電子全集

関連記事

  1. ふだん香也子は、保子や恵理子の顔など、二度と見たくないといっている。

  2. その次の日も、同じ時刻、向こう岸に青年を見た。

  3. 香也子は父の手をふり払って、ふくさをつけている和服姿の中年の女にいった。

  4. 「そうね、香也ちゃんのいうとおりね。香也ちゃんをひとりおいて、お母さんとわたし、橋宮の家を出てしまったのですものね」 うるんだ恵理子の声が返ってきた。

  5. 「あら、もう章子さんの彼氏、みえる頃じゃないかしら」

  6. 恵理子は誰かの視線を感じた。