子供のように勢いよく走って行く香也子のうしろ姿を、西島広之は微笑して見送った。

子供のように勢いよく走って行く香也子のうしろ姿を、西島広之は微笑して見送った。急な坂道を香也子はつんのめりそうに走って行く。ハラハラして見送っていると、香也子はカーブをまがったところで、勢いよく倒れた。西島は驚いて駆け寄って行った。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 七」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

関連記事

  1. と、ビールを飲みながら、ふっと笑って、 「いやですねえ。昔の話をむし返して。

  2. 二十畳の応接間に、いま、橋宮容一と、その妻扶代、そして娘の章子が、英語塾を経営する金井政夫と談笑している。

  3. 旭山は、恵理子たちの家から車で二十分ほどのところにある美しい小山である。

  4. 恵理子と別れたのは、香也子が十歳のときだった。

  5. 容一に手首をぐいぐい引っぱられて、何十メートルか、斜面を降りた扶代と章子は、あっけにとられていた。

  6. 物語を〈聴く〉という、発見  田中綾