子供のように勢いよく走って行く香也子のうしろ姿を、西島広之は微笑して見送った。

子供のように勢いよく走って行く香也子のうしろ姿を、西島広之は微笑して見送った。急な坂道を香也子はつんのめりそうに走って行く。ハラハラして見送っていると、香也子はカーブをまがったところで、勢いよく倒れた。西島は驚いて駆け寄って行った。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 七」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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