半東の弟子が水差しを運んできた。

半東の弟子が水差しを運んできた。席の人たちが入れ替わった。順序としていちばん初めに席にはいったのは、香也子の前にいた長身の青年だった。香也子は次につづいた。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 七」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  1. 「馬子にも衣装って、ほんとうね、お父さん」  わざと香也子は無邪気にいう。

  2. 車は火山灰地の白い丘の上を走って行く。 「ねえ、金井さん。いや、今日からお兄さんと呼ぼうかしら。いい? お兄さんと呼んでも」

  3. この道はめったに車は通らない。景色はいいが、あまり人に知られていない道なのだ。 「わたしねえ、こんな静かなところが好きなの」

  4. 香也子は、さっきからだらだらとつづいている生さぬ仲のドラマを切った。

  5. 「ここにいることが、よくわかったねえ」 香也子は容一の顔も見ずに、天井から吊りさげられたランタンに目をやって、

  6. 家人たちが騎馬のけいこをしているのであろう。土塀の外を大声で笑いながら、二、三騎駈けて行く音がした。