半東の弟子が水差しを運んできた。

半東の弟子が水差しを運んできた。席の人たちが入れ替わった。順序としていちばん初めに席にはいったのは、香也子の前にいた長身の青年だった。香也子は次につづいた。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 七」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  1. ガラシャ夫人の名を、はじめてわたしが聞いたのはいつの頃であったろうか。

  2. クレンジングクリームをガーゼでぬぐい、化粧水をふくませた脱脂綿でごしごし拭いている時、ドアをノックする音が聞こえた。

  3. 香也子は椅子ごと、ぐいと扶代と章子のほうを向いた。

  4. 西に行けば、道は下って三百メートルほどむこうの柏林に突きあたる。香也子は東にむかって歩いて行く。道端のチモシーが雨にぬれて光っているのが目をひく。角の家の藤がいま盛りで、小さな紫の滝のようだ。

  5. 「あの、あと二十分ぐらいしたら、おみえになる筈ですけれど」

  6. 「まあ、すてき!」 崖ぶちのあずまやにはいった香也子が叫んだ。