神社のほうに、何かを囲んで人々が群れていた。その群れの中に和服姿の若い娘たちが二十人ほどいる。

神社のほうに、何かを囲んで人々が群れていた。その群れの中に和服姿の若い娘たちが二十人ほどいる。
「行って見ましょうよ、お父さん」
香也子が容一の手をひいた。
「きれいな娘がたくさんいるようだな」
容一はニヤニヤしながら扶代をふり返った。
「いやですよ」
やさしく笑って、扶代も後について行く。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 六」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

関連記事

  1. その翌日のことだった。保子にいわれて、恵理子はゴミを焼きに外に出た。

  2. 青年はギターを膝に抱え、

  3. ジンギスカン鍋をつついている者、輪になって歌をうたっている者、桜の花の下には、何十組とも知れぬ人の群があった。

  4. 茶席を出た香也子は、桜の木陰にいる祖母と、母の保子を見出した。

  5. 曇った空の下に、郭公の声がしきりにする。 もう十時だというのに、香也子はネグリジェのまま、一時間も前から三面鏡に向かって化粧していた。

  6. 「わたし、香也子です。よろしく」