西に広がる旭川は、数えるほどしかビルのない平たい街だ。

西に広がる旭川は、数えるほどしかビルのない平たい街だ。その街の北寄りに、パルプ工場の吐き出す煙が、白くまっすぐに立ちのぼっている。もくもくと吐き出されているはずの煙が、絵に描いたように静止している。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 六」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  4. 「香也子よ!」 保子は母のツネにささやいた。

  5. 三百坪ほどの広い庭は、なだらかに傾斜しつつ、沢の端に至っている。

  6. と、丘の上に車が現れた。車は真っすぐに香也子のほうに下ってくる。見覚えのある金井政夫の車だ。