「まあ、すてき!」 崖ぶちのあずまやにはいった香也子が叫んだ。

「まあ、すてき!」
崖ぶちのあずまやにはいった香也子が叫んだ。
いきなり眼下から、上川盆地が開けていた。水のはいった田の面が、鏡をはめこんだようだ。その無数の鏡が、遠く北に及び、点在する赤や青の農家の屋根が美しい。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 六」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

関連記事

  1. 今夜も庭つづきの崖の下から蛙の声が賑やかに聞こえてくる。崖下の沢には田んぼがあるのだ。

  2. 「でも、あなた、恵理子はもうそろそろ結婚する齢ですよ。お店なんか持っていては、結婚の邪魔になりますわ」

  3. 「ここの中華料理はうまいね。実はこの前の日曜日、うちに客があってね。中華料理の手づくりをご馳走したんだ。それが意外とうまくてね。お前たちに食べさせてやりたいと思ったもんだから……」 「どなたがおつくりになったの」

  4. 車はいつのまにか、高砂台から観音台につづく、馬の背に似た丘の尾根を走っていた。

  5. 「少し白髪が……」と、保子はやさしく容一を眺めた。

  6. 香也子は椅子ごと、ぐいと扶代と章子のほうを向いた。