香也子が先に立ち、橋宮容一と妻の扶代、そしてその娘の章子があとにつづく。

香也子が先に立ち、橋宮容一と妻の扶代、そしてその娘の章子があとにつづく。桜の下の草原を、爪先立ちに登りながら、ときどき立ちどまる。濃淡さまざまの桜の色が、うすぐもりの空の下に、しっとりとあでやかだ。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 六」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  1. 「ここの中華料理はうまいね。実はこの前の日曜日、うちに客があってね。中華料理の手づくりをご馳走したんだ。それが意外とうまくてね。お前たちに食べさせてやりたいと思ったもんだから……」 「どなたがおつくりになったの」

  2. 容一は、恵理子の高校の卒業式に扶代にかくれて出席した。

  3. 「素顔のほうがきれいだよ、香也子」 「まさか」 化粧した顔のほうがきれいだと、香也子は信じきっている。

  4. 恵理子が柄杓を釜にいれた時、青年がいった。

  5. 五月も十日に近い日曜の午後。

  6. 「…………」  香也子は向かいの山を眺めながら何か考えているふうだった。