炎を見つめながら、恵理子はそのとき、そんなことを思っていた。

炎を見つめながら、恵理子はそのとき、そんなことを思っていた。と、ふと向こう岸を見ると、そこに再びあの青年を見た。一時近かった。青年は前の日のように、恵理子を見つめていた。恐らく恵理子の気づく以前から、ずっと見つめつづけていたにちがいない。そんなまなざしだった。
青年は微笑して、軽く頭をさげた。恵理子も会釈したが、すぐに視線をはずした。前日、青年が若い女性と、肩を並べて歩いて行く姿を見たからだ。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 五」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  5. 「おばあちゃんは、お茶の先生でしょ」

  6. 「でも、あなた、恵理子はもうそろそろ結婚する齢ですよ。お店なんか持っていては、結婚の邪魔になりますわ」