その翌日のことだった。保子にいわれて、恵理子はゴミを焼きに外に出た。

その翌日のことだった。保子にいわれて、恵理子はゴミを焼きに外に出た。ポプラから少し離れたところに、小さな焼却炉がある。癎性な保子は雑巾を使わない。ペーパーふきんで、畳でも窓の桟でも拭く。そしてその都度使い捨てにしてしまう。雑巾にさわると、手が汚れていやだと保子はいうのだ。毎日のように、玄関や襖の引き手も拭く。見る間にペーパーふきんは山となる。それを焼くのが恵理子の役目なのだ。乾くまで二、三日分をためておく。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 五」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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