その翌日のことだった。保子にいわれて、恵理子はゴミを焼きに外に出た。

その翌日のことだった。保子にいわれて、恵理子はゴミを焼きに外に出た。ポプラから少し離れたところに、小さな焼却炉がある。癎性な保子は雑巾を使わない。ペーパーふきんで、畳でも窓の桟でも拭く。そしてその都度使い捨てにしてしまう。雑巾にさわると、手が汚れていやだと保子はいうのだ。毎日のように、玄関や襖の引き手も拭く。見る間にペーパーふきんは山となる。それを焼くのが恵理子の役目なのだ。乾くまで二、三日分をためておく。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 五」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

関連記事

  1. 恵理子が柄杓を釜にいれた時、青年がいった。

  2. 「いま、お兄さん、好きな人ができたらって、おっしゃったわね。じゃ、その好きな人がお兄さんだったら、どうするの」 「え?」

  3. 半東の弟子が水差しを運んできた。

  4. お手伝いの絹子が、コーヒーを持ってテラスから芝生に降りてきた。

  5. あけ放った窓から、木工団地の工場の機械のうなりが、絶えず低くひびいてくる。 恵理子は、頼まれたスーツの裾をまつっている。

  6. 「手があがったかね」コップにビールを注いでやりながら、容一がいう。