金井政夫は、運動ならスキーでも、野球でも、ホッケーでもやるといった感じの、スポーツ青年に見えた。

金井政夫は、運動ならスキーでも、野球でも、ホッケーでもやるといった感じの、スポーツ青年に見えた。胸幅が広い。歯が白い。眉が濃い。それらが与える印象だったかもしれない。
「何か選手をしていましたか」
容一が聞いたとき、金井政夫は頭をかいて、
「いや、それが……運動神経が鈍くて……卓球を少しやるぐらいです」
と素直にいった。そのいい方がスポーツ万能であるより、ずっとさわやかな印象を容一や扶代に与えた。

三浦綾子『果て遠き丘』「春の日 四」
『果て遠き丘』小学館電子全集

オーディオライブラリー『果て遠き丘』朗読:七瀬真結

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  3. 「そんなこといったって……」 「ね、お兄さん。わたし、結婚してもらわなくてもいいの。ただ一度だけ、キスをしてほしいの。ただ、それだけなの」

  4. 「どうした。コーヒーを飲まないのかい」

  5. 二人はいつしか頂上に出た。頂上にはテレビ塔があった。

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